余剰在庫の処分は健全な経営の第一歩! 賢い処分・廃棄の方法
適正な在庫を持つことは、円滑な経営のためにもメリットがあります。しかし、在庫が過剰になってしまうと経営に悪影響を及ぼすことも事実です。最悪の場合、倒産を招くこともある余剰在庫は、企業の健全な経営にとって大きなマイナスとなるため、どうやって処分すべきか悩んでいる経営者も多いことでしょう。この記事では、余剰在庫の問題点を解き明かし、余剰在庫を適正に処分・廃棄する方法を解説します。
この記事を読むことで、余剰在庫の処分方法や在庫管理についての知識を得ることができます。在庫の適正化は経営にとって必要不可欠です。この記事を参考に、余剰在庫問題の解決に取り組んでみてください。
1.余剰在庫について
在庫が過剰にある状態は、資金繰りを始めさまざまな面から経営を圧迫します。余剰在庫を抱えることの問題点をまとめてみました。
1-1.余剰在庫とは
在庫には経営を安定させる適正量がありますが、適正量を超えた在庫を「余剰在庫」といいます。在庫が余ってしまう原因はさまざまです。誤発注や過剰仕入れ、販売不振・返品、製造業であれば生産過剰など、市場を見誤ったり、適正な在庫管理ができていない場合などに起こります。
1-2.余剰在庫の問題点、リスク
余剰在庫を持つことによる問題点を理解しておくことが在庫の健全化には大切です。リスクについても知っておきましょう。
1-2-1.キャッシュフローの悪化
在庫は現金が形を変えたものです。売れることで初めて現金の姿に戻り、収益となります。在庫が過剰になると、現金化するまでの期間も長引き、キャッシュフローが悪くなるのです。
現金という流動資産が少ない状態では、資金繰りが厳しくなり、健全な経営に悪影響を及ぼすことになります。最悪の場合には、在庫という見せかけの資産により、会計上は黒字でも、支払いに回す現金が足りずに経営が破綻することもあるのです。これが「黒字倒産」といわれる状態で、倒産リスク回避のためにも、余剰在庫は早めに現金化すべきだといえます。
1-2-2.無駄な経費が経営を圧迫
在庫を持つには保管スペースが必要です。倉庫を借りるための費用・人件費・光熱費・保険料に加え、在庫管理のための棚卸しにもコストがかかります。こうした付加価値を生まないコストが経営を圧迫するのです。
1-2-3.商品の価値低下によるリスク
商品には売るのに適した時期があります。アパレルなどは、流行や季節が過ぎることで商品が陳腐化するため売れなくなるのです。また、在庫の長期保管によって品質の劣化も招きます。こうして商品価値が下がると本来の価格で販売できず、適正な利益を得ることができなくなるのです。
2.余剰在庫の処分について
企業の経営を圧迫する過剰在庫から抜け出すためにはどうしたらいいのでしょう。適切な在庫処分の方法を考えてみましょう。
2-1.処分のタイミング
余剰在庫は、なるべく早く処分するに越したことはありません。しかし、在庫品を消費者に販売して現金化を狙う場合は、商品が売れやすいタイミングや決算前などにセールを行うことも可能です。
2-2.処分の方法について
過剰在庫を処分するには以下の方法があります。商品に市場価値がある場合は消費者に直接販売して現金化することも可能です。売れないものについては廃棄処分となります。
- セール品として廉売:決算セールや在庫一掃セールなどとして売り切る方法
- アウトレットで販売:流行おくれや季節外れの品をアウトレットストアで安く売る方法
- 業者に依頼して処分:セール・アウトレットで売れなかったものを、回収業者に一括で処分してもらう方法。買い取りと廃棄により処分される
2-3.社内での処分と問題点
社内で過剰在庫を処分することは、経費節約につながるのか考えてみましょう。
2-3-1.社内セール
アパレルやメーカーの場合、従業員向けに在庫品を安く販売することがあります。一定数の現金化は望めますが、社内販売は大量の余剰在庫処分には向きません。
2-3-2.自社通販サイト
社内外のセールでも売れなかった余剰在庫を処分したい場合、自社のインターネット通販サイトで販売することもあるでしょう。
業者に処分を依頼する経費が削減できるため、一見いい方法のように思いますが、実はこの方法はとても非効率でコストがかかるのです。
倉庫の在庫確認、搬出や発送、在庫管理、顧客管理などには人件費がかかります。大変な労力の割には、セール品のため売り上げはわずかです。このような非効率な方法より、効率よく処分する方法を考えた方がいいでしょう。
3.業者による余剰在庫処分について
業者に依頼すると、効率よく余剰在庫を処分できます。自社の人材は、本来の収益を上げる業務に専念させましょう。
3-1.どんな場合に依頼すべきか
余剰在庫を持つ期間が長引くほど経費がかさむため、早めの対処が必要です。以下のような場合には業者への依頼を検討しましょう。
- セール・アウトレットで売れ残った商品が大量にある
- 在庫処分に人件費がかけられない
- 余剰在庫を一気に片付けたい
- すぐに現金化したい
- なるべく経費をかけずに廃棄したい
3-2.扱う商品の種類
回収業者によって得意な品目に違いがありますが、たいていの業者は幅広い品目を取り扱っています。自社の製品は取り扱いジャンルに入っているか、あらかじめ確認しておきましょう。
3-3.処分の方法
企業から買い取り・回収した余剰在庫は、訳あり品として再販されます。リユースできないものは、細かく分別して部品や資源としてリサイクルされるのです。依頼する業者がどのような処分をしているか調べて、リサイクル・リユースが徹底している会社に依頼するといいでしょう。
3-4.メリットデメリット
業者に余剰在庫の処分・廃棄を依頼したときの一番のメリットは、手間をかけずに大量の余剰在庫を処分できる点です。これにより、買取可能なものは現金化することもでき、保管スペースにも空きが出ます。デメリットは、廃棄処分には費用がかかることです。
3-5.セキュリティーについて
経営状態をうかがい知ることのできる余剰在庫の処分・廃棄は、企業にとっては重大な機密事項です。他社に知られないようにセキュリティーには気をつけましょう。業者を選ぶ際には守秘義務を順守できる業者を選ぶことが大切です。
3-6.注意点
買い取りを希望する際、「早く現金化したい」という足元を見られて、不当に安い見積もりを出されることがあります。見積もりは必ず複数の業者から取り、比較検討しましょう。金額だけでなく付随する条件やサービス内容についても確認することが大切です。
4.業者選びのポイント
余剰在庫回収業者を選ぶポイントを紹介します。
4-1.サービスについて
不用品の買い取りと廃棄の両方に対応できる業者を選ぶといいでしょう。両方対応できる業者では、買い取り可能なもの、リサイクルするもの、廃棄するものなどの分別もやってくれるので、手間がかかりません。一度ですべて処分できるので便利です。業者によってサービス内容が異なるため、ホームページなどで確認しましょう。
4-2.料金について
料金は業者によって異なりますが、多くの場合は単品での価格と、トラック1台あたりの価格を決めています。余剰在庫処分の場合は、単品ではなくトラックでの回収が格安でしょう。
4-3.回収方法
余剰在庫の回収の場合は、倉庫まで出張してもらうといいでしょう。自分たちで在庫品を運び出す手間もかからないので便利です。出張費0円の業者を選ぶといいでしょう。
4-4.回収の流れ
余剰在庫回収の主な流れを説明します。
1.相談・見積もり依頼
電話やホームページから問い合わせをする。余剰在庫回収について疑問があれば事前に相談しておくことが大切になる。
2.査定・見積もり
余剰在庫品を査定後見積もりを提示。金額に納得した場合は作業日時を予約する。
3.回収作業
指定日時に業者が余剰在庫を回収する。
4.精算
作業後現場を確認し、精算する。買い取り金額と廃棄品費用を相殺し、支払いもしくは受け取る。
4-5.トラブルに注意
不用品回収業者の中には、無許可営業の悪質業者もいます。無料回収といいながら高い料金を請求したり、不当に安い金額で買い取りをしたりするトラブルが報告されているのです。
突然の訪問営業や無料回収をアナウンスしながらトラックで巡回してくるような業者は避けた方が賢明でしょう。もし、悪徳業者の手に余剰在庫品が渡ってしまったら、その後どのように扱われるかわかりません。不法投棄されるリスクもあるので、業者選びは慎重になりましょう。
5.よくある質問
Q.余剰在庫回収作業の前に、分別をしたほうがいいでしょうか?
A.業者が、買取品・廃棄品などに仕分けしますので、何もしなくても大丈夫です。
Q.余剰在庫をなるべく高く買ってもらう方法はありますか?
A.なるべく新品に近い状態できれいに保管しておくことです。大量にある場合にはリスト化しておくといいでしょう。
Q.余剰在庫はお金を払ってでも処分すべきものですか?
A.在庫は余剰となった時点で、すでに経営に大きなマイナスになっています。在庫を持っていることでかかるコストと処分する費用を比べると決して損ではありません。
Q.回収業者の飛び込み営業を断る方法を教えてください。
A.まず見積書を出してもらいましょう。その上で、数社と相見積もりを取るから、「依頼する場合はこちらから連絡します」と言ってお引き取りいただきます。見積書をもらったら金額の確認はもちろん、会社の連絡先が記載されているか、許可番号の提示があるかなども確認しておきましょう。
Q.アウトレットセールをするときに気をつけることはありますか?
A.破格のセールで気をつけたいのは、安売りすることで自社のブランドイメージが損なわれないかという点です。いくら現金化を急ぎたいからといって、原価を割るようなセールを頻繁にすべきではありません。
まとめ
余剰在庫を抱えることは、企業にとって大きなマイナスです。早めに余剰在庫を処分して、経営の健全化を図りましょう。余剰在庫を処分した後は、適正な在庫量を明確に決めて、その方針に沿って経営することが大切です。